平泉会運営委員 土田 俊哉
アニマルセラピーを知ってますか。 私どもは、動物を見ると自然に内側から「愛しい」という感情が生まれます。
そして、触れたい、抱きしめたい、関わりたい、という自然な感情が笑顔を生み副交感 神経を優位にさせて免疫力を高めることになります。
また、動物は決して秘密をもらさずに、意見を否定することなく何時間でも話しを聴 いてくれる、最良のカウンセラーでもあります。
このように動物を介在させることで、ネガティブになりがちな患者やおとしよりの治 療・リハビリテーションへの積極性を高め、リラックスすることにより免疫力と治療効 果を高める療法をアニマルセラピーといいます。しかし、私どもはいつからアニマルセ ラピーが必要なほど、心淋しくなったのでしょうか?
翻ってみれば、明治期、長い鎖国で西欧に対して大きく文明が遅れ、これをとり戻そ うと急激な近代化を政策的に進めたことに原因があると思われます。
象徴的なことは、福沢諭吉が近代的諸学を求め西欧化を図る大学を作ったことです。 一方、清沢満之は日本人の心の喪失の危険を感じ、宗教を重視した真宗大学を設立し ました。しかしながら、国策は福沢 諭吉に味方し、富国強兵にのめり込んでいきました。 結果は戦争です。敗戦後も米国の指導により日本の基本的政 策は変わりませんでし た。“ 強兵”は経済戦争のオブラー トに包まれ、“富国”に走ったのです。結果、 私どもの暮ら すこの社会はどうなったでしょうか?(平泉会ホームページ の寺子屋 フォーラム「共感と競争」を参照してください)
そして今、占い・純愛・癒し・スピリチュアルカウンセリングがマスコミを賑わし ています。また医療においてもバイオ(生物学的)→サイコ(心理学的)→ソーシャル(社 会学 的)と疾病は視点を深め、現在はスピリット(魂、ソウル)が論議されています。 疫学的にスピリットと免疫・健康の関係が指摘されており、この点でウェルネスとの関 係も存在します。
アニマルセラピーによる魂の賦活や癒しも、この一連の流れのうえにあると言っても いいでしょう。西欧に追いついた現代にこそ、清沢満之が求められているのです。
さて、絵を描くことはどうでしょうか?絵を描くことはスピリチュアルワークである ことは自明です。また音楽についても同じです。現代社会の病根を払拭できないとする ならば、少なくとも私どもは、心に鍬を入れ続けなくてはいけないのではないでしょう か。社会の変化は個の変化の積み重ねであることを信じて。